プロローグ
シカゴマラソンは日本では認知度は低いかもしれませんが、世界6大大会の一つです。他に、ニューヨーク、ボストン、ロンドン、ベルリン、そして2013年以降の東京マラソンが世界6大大会(World Marathon Majors)で、これらを全て完走するとSix Star Finisherとして6大会のレースディレクターの署名入り完走証が貰えます。
この6大大会完走を目指しての私の第一歩は、2013年10月13日のシカゴマラソンでした。
2013年シカゴマラソン出走権には、実はとても幸運なことがありました。本来は先着順で締め切りの申し込みが、システムダウンが発生し、先着順で出走権を獲得した人達がキャンセルされ、新に抽選方式に切り替わったのです。これをニュースで知り、ほんの軽い気持ちで応募したら当選してしまいました。
エキスポ
金曜の正午頃、エキスポ会場は既に大混雑でした。ナイキのブースなどはお会計に長蛇の列ができていました。東京マラソンではいつも一番大きなアシックスのブースは、会場の隅でひっそりと出店していました。
日本との大きな違いはチャリティがしっかりと根付いていることです。ガン撲滅からペットの保護、小児病院への寄附などなど、チャリティのブースが数多く出店されており、そして多くの人達が10ドル札以上を寄附していました。
レース当日
スタート地点とゴール地点が供にグランドパーク内でした。これは、遠征して来たランナーにはとても助かります。近くにホテルを取れば行くのも帰るのも楽だからです。
6時過ぎ、まだ暗い中、ホテルを出ると多くのランナー達がスタート地点に向かって歩いていました。グランドパークは何日も前から、大会のランナー以外には封鎖されていて、とても物々しい警備でした。爆発事件のあったボストン後の最初のメジャー大会ですから、アメリカの面子にかけても「無事に終わらせる」と言う意志を強く感じた警備でもありました。
スタートから20キロ地点
国歌斉唱、選手紹介などの後に、スタートの合図のホーンが良く聞こえないうちにスタート。3時間30分のブロックにいたので、回りの選手達はキロ5分のペースです。周囲のランナー達とペースを合わせて、けっして無理な追い越しをせずに淡々とキロ5分でペースを刻んで行きました。沿道の観客はなんと200万人!応援は東京や大阪マラソンとは比べものにならない程に盛り上がっていました。このまま行けば3時間30分前後でゴールできるかな??と計算しながらの20キロでした。
20キロから30キロ地点
25キロあたりで右膝上と左大腿裏の筋肉に軽度の攣りを 感じました。「あれ?ちょっと早いんじゃない??」と思いながら、ここでペースを維持すると後半に大失速する可能性がありますので、ここは潔くキロ5分半 までスローダウン。こういう時には頭の中ではゴール予想タイムをずーっと計算しながら走ります。3時間40分〜45分程度が新たな目標になりました。
30キロからゴール!
33キロ過ぎ、「あと10キロもない」と思ったところで、突然の両足の攣り。塩飴を食べているのに効かない!エイドのバナナを食べてもダメ。
止まるとタイムロスが大きくなるので、足を拳で叩きながら大股歩行と小走りの繰り返しになってしまいました。キロ7〜8分と大きくタイムロスです。まさか4時間超えてしまうかな??そう、思った矢先にバナナが効いてきたのか、やっと40キロ辺りでなんとなく痛みが薄らいできました。そこからキロ6分切る程度のジョグまでスピードアップして、なんとか3時間55分でゴールしました。
タイムは平凡な結果でしたが、メジャーレースに参加できたことは、私にとって素晴らしい経験となりました。運営、応援、チャリティ体制等、多くのことが印象に残りました。日本でも何年か後には、東京や大阪マラソン等が全てにおいてこの様なレベルの大会になって行けるものと思っています。
エピローグ
私は、日曜日のレースの4日前にシカゴ入りしたので、街をいろいろ回る時間がありました。至る所にマラソンの幟があがっていて、世界各国からの市民ランナーがグランドパークを観光に訪れていました。まさに街を挙げてのお祭り状態でした。
家族連れが多く、小さな子供も含めて家族総出で、家族の誰かの応援に来ているのでしょう。この日のためにどれだけ練習を積んできたか、毎日見守ってきた彼らにとっても、応援の集大成の日。その結果が沿道の200万人だったのだと想像しています。
公園内の一部が応援の人にも開放され、ゴール後に家族や友人と祝福し合っている輪が、あちこちにできました。
この日は、街を歩いても、ホテルのロビーでも、観光に出かけた博物館でも、首から完走メダルをかけたままの人をそこかしこに見かけました。夜は、首からメダルをかけた人達がバーでビール片手に、ワイワイと盛り上がっていました。
私は火曜に日本に向けて出発したのですが、空港でも首からメダルをかけたアメリカ人に遭遇(笑)しました。そのまま自分の家に帰るのでしょう。
Place Gender7663
Place Age Group623
Place Overall10363
Finish Time03:55:51
と言うことで、私の世界6大大会制覇挑戦のための第1戦は無事に終了しました。次は2014年2月の東京マラソンです、攣ることのない脚を作っていきます!(レースの前後は診療をお休みさせていただきます。ごめんなさい。)
Takao Hosono, Tokyo