当帰芍薬散について過去のブログで色々と書いて来ましたが、患者さんから「遠方でここに来れない友人に当帰芍薬散を勧めてあげたいのですが、どの様な感じで説明すれば良いですか?」と言うストレートな質問がありました。自己判断で適当に服用すると回り道になってしまうことも多く、また漢方は効かないなど誤解が生じてくるのであまりお勧めではないのですが、当帰芍薬散などでちょっと試しても大丈夫かなと思う服用方法を説明してみましょう。
ここまで何度も書いて来ましたが、当帰芍薬散は瘀血症状(月経痛、月経不順、内膜症や子宮筋腫など)プラス水毒症状(浮腫など)を伴う場合に効果があります。水毒症状がなければ四物湯などを基本に考えて下さい。当帰芍薬散や四物湯は優しい処方なので、瘀血症状が強い場合には効果を実感しないことがあります。その場合は、もし自己判断で薬局などで購入するのならば桂枝茯苓丸がお勧めです。
桂枝茯苓丸は桂枝、茯苓、芍薬、牡丹皮、桃仁の5つの生薬から構成されるこれまたメジャー処方です。もうお気付きかと思いますが、当帰芍薬散とは茯苓と芍薬の2つの生薬が重複しています。牡丹皮、桃仁は比較的強い駆瘀血薬です。これらは桂枝の気を巡らす作用と相まって子宮卵巣系の血流を改善してくれます。子宮筋腫や内膜症がある場合は、強い瘀血が存在すると考えて桂枝茯苓丸の方が良い場合もあります。ただお腹の過敏な人には牡丹皮、桃仁で下痢をすることがありますので、そこは注意が必要です。
これらの漢方を自己判断で試してみたい場合は、上記理由より当帰芍薬散から開始した方が無難です。そこで物足りなければ桂枝茯苓丸に切り替えるのではなく、当帰芍薬散を2/3袋、桂枝茯苓丸を1/2袋と言う感じで合わせてみて下さい。重複する生薬が気になるかもしれませんが、いずれも量を減らしているので大丈夫です。大昔ですが、聖光園の頃に坂口弘理事長(元)が当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を合わせて処方していたのを見て、それを保険診療の大学病院の漢方外来でも真似したものでした。ツムラやクラシエの保険漢方を半分ずつ混ぜて、その人に合わせて処方を作ると言う考えが当時はまだあまり一般的ではなかったので、門前薬局から問合せ電話がよくかかって来た記憶があります。
まずは当帰芍薬散より開始して、症状に変化なく物足りなければ当帰芍薬散(適量)+桂枝茯苓丸(適量)、あるいは浮腫みがさほど気にならなければ、四物湯(適量ですが、半量程度がお勧めです)+桂枝茯苓丸(適量)、さらには桂枝茯苓丸と試してみて下さい。それでも効果が感じられなければ、早めにご相談下さい。女性系の処方は説明しきれないほど多種類ありますので、他に体に合うものを早めに服用した方が得策です。
ところでどのくらいの期間で判定すれば良いのか?と当然疑問に思われるでしょう。おおむね月経を1〜2回越えるくらいの期間で判断して下さい。何となく良い感じがすれば続けて大丈夫です。自分の感覚を一番大切にして下さい。
(過去ブログはこちら、あの当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)も五苓散の生薬が基本です、当帰芍薬散の根本となっている四物湯(女性系の大基本処方)について見てみよう 、さらに当帰芍薬散について、妊婦さんからお天気頭痛や眩暈にも応用できます!)
さて、先日ランニングシューズのインソールを作成して来ました。SIDAS(シダス)と言うフランスのメーカーで、最近青山にその場で計測して足に合わせて作成してくれるフィッテイングラボを開設しました。以前よりこのメーカーのインソールをランニングシューズだけではなく、普段履いている靴にも入れていたり、サンダルなども使用しています。既製品のインソールはそれはそれで効果はあるのでしょうが、漢方と同じできちんと診てもらって作成してもらった方が安心感はあります。もちろんランニングシューズだけでも何種類も履き分けるので、全て作成していたら大変なことになります。そこでまずきちんと足に合わせて作成してもらい、そのフィッティング感を自分の標準にしておけば既製品も選びやすいはずです。しつこい様ですが、漢方薬も同じことです。ちなみに普段のスニーカーなどはそんなに足に負荷はかからないだろうから既製品を使っています。
左がかなりの扁平足ですが、この様に最初に大まかな測定をして、その後に3つの機械(装置?)に乗ったり足入れたりして作成します。
小走りして板みたいなのを踏んで着地時の足裏のつき方を調べたり、最後はこのグニュとする青い部分で足の型を取ってデータ収集は終了です。
一見何の変哲もなさそうな感じですが、上に足を乗せるとピタッと合っていい感じです。長い距離を走ったり長時間立ち仕事や歩行する時に、アーチが下がって来たりまた踵がズレたりするのを予防するので健康サンダル的な土踏まずが盛り上がって「あぁ〜気持ちいい」と言う物ではありません。自分に合ったインソールで走ると、やはり足の疲労感が全然違うと再確認しました。繰り返しになりますが、漢方も・・・・・と言うことで今回はこの辺で。
細野漢方診療所 細野孝郎