前回からの続きになります。
（A）十全大補湯＝四君子湯＋四物湯＋桂枝＋黄耆
（B）十全大補湯＝連珠飲＋人参＋黄耆
つまり連珠飲も十全大補湯も、更には四物湯プラス四君子湯も全て親戚関係にあります。ただ似てはいるけれども、どれを服用しても効果は同じではありません。表現の仕方としては「効いてはいるんだけど、何かイマイチ」となります。
胃腸の具合が良くなく食欲がない人が十全大補湯を服用すると、食欲が出て来ました！と感じるでしょう。でももう少しお腹が動いて欲しい・・・・・みたいな感覚が出てきます。十全大補湯には四君子湯が入っているので、胃は動くでしょう。ただ四君子湯だけ（または六君子湯）ではないので、つまり四君子湯の量としては1人前ではないので、100%胃腸系漢方！ではありません。あくまでも四物湯が入っているのはベースに血の問題があり、それも同時に治したいからです。
四物湯ベースなので不妊症などでも十全大補湯が出される場合があります。胃腸系に問題なければ四君子湯はいらないので他の処方を選択すべきかと思います。また四物湯と言うと、女性系以外に皮膚系です。胃腸虚弱があり皮膚が乾燥した人やアトピー性皮膚炎の乾燥期にピッタリです。この場合に黄耆と言う生薬はとても都合よく、黄耆には皮膚を引き締めてキメ細かい皮膚を作る作用があります。ザラザラした隙間だらけの皮膚を引き締めて、外からの因子による肌荒れを防いでくれます。
連珠飲ベースと考えると、十全大補湯で眩暈が改善しても良い気がします。自分が処方して胃腸症状が改善したり妊娠した方々は数多く拝見しいますが、眩暈はまだありません。眩暈と言われれば連珠飲か苓桂朮甘湯を処方してしまうからでしょう。
老人ホームに入っておられる方に十全大補湯を現在処方していますが、最初に食欲が改善して来たそうです。食事が取れると元気なってくるし、栄養が入るのと同時に四物湯の効果で顔色や肌艶なんかも良くなってくるでしょう。こうやって十全大補湯は多方面に効果はありますが、その一方で、効果の出方はマイルドになります。薬局で買うのならば特徴を良く理解して買って下さい。
馬子にも衣装、写真はCoCo壱のお持ち帰りカレー「THEチキンの肉増し」ですが、プラ容器のままではあまりにも寂しいのでお皿に盛ってみました。プラ容器のままでルーが容器の底に広がって食べにくいのも問題です。連珠飲に生薬を加えるのと比較にならない一手間ですが、それでも効果抜群！こんな写真を出さなければならないほど、ここの所は毎日変化がなくネタが底をついています（笑）
細野漢方診療所 細野孝郎
