• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

前回からの続きになります。

自分が過去に処方したことがある漢方系の「目薬」は明朗飲加菊花(めいろういんかきっか)、滋腎明目湯(しじんめいもくとう)、杞菊地黄丸(こきくじおうがん)、止涙補肝散(しるいほかんさん)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などが主です。他には菊花を単独で八味地黄丸に加えたりして目を明るくする目的で使ったりもしています。

正直目に関してはそんなに多数の治療例はないですが、前回書いた様に目も体の一部なので、体の治療と同じ様に考えて治療をする必要があります。前回は五臓に基づいて書いたのですが、今回は視点を変えて気血水の方向から考えてみましょう。目には細い血管が豊富で、更に眼球内は房水と言う液体で満たされています。血流が悪かったり、水分代謝が悪いと、目の見えが悪くなったり緑内障などの状態になったりもします。そこで肝や腎を整えることと同時に血や水の流れを良くすることが眼の治療に大切です。

さて自分が処方した眼の処方で一番効いた手応えがあったのは、明朗飲加菊花と八味地黄丸加菊花ですが、さらに目の充血に対して黄連解毒湯や三黄瀉心湯、これらも良く効ききました。若い女性の方で、月単位で続く目の充血で来院された方がおられました。眼科に行ってもイマイチ良くならないので漢方で治らないか?とのことでした。以前、三黄瀉心湯で中高年男性の目の充血を治したことはありました。しかし今回は体の線の細い女性で便秘もほぼないので三黄瀉心湯では下痢してしまいそうです。悩みに悩んで、黄連解毒湯を半量(全量だと体を冷やすだけで終わりそうなので)に桂枝を足して、胃を温める意味で人参を少々加えてみました。想像以上に効果あり二週間でほぼ目立たない程度にまで充血が改善し、1ヶ月で治療を終えました。

最初に処方する時には、将棋じゃないのですが、2手、3手先まで考えています。この例の場合では、黄連解毒湯が不発の時にどうするかです。目の充血を瘀血(血の巡りが悪い状態)と考えて、桂枝茯苓丸を半量足す、あるいは桂枝茯苓丸のみにするとか、または黄連解毒湯に紅花や牡丹皮などの瘀血を改善する生薬を加えるなどです。正直、目の充血に関してはそこまで多数の治療経験ないので、更に先の手は悩ましいです。鍼灸治療でも併用して少し巡らせてみるのも一手でしょう。

次回は明朗飲加菊花について考えてみます。

香港では何故だかずーっと以前より出前一丁が人気です。スーパー行っても出前一丁は必ずあるし、日本にはない香港バージョンも数多く売られています。出前一丁とか日本ではあまり見かけなくなったので、もしかしたら若い人は知らないんじゃないですか?まぁ僕的にはサッポロ一番の方が好きですが(笑)ところで香港では、この出前一丁は火鍋の店に行っても最後の閉めの麺としても選べます。大衆火鍋の店で出前一丁があったので驚いて、次に高級火鍋の店でもメニューにあって更に仰天した経験もあります。そのまさかの出前一丁が朝食バイキングにも・・・・・・。あちらではスープは使わずに麺だけを乾麺の感覚で使うこともあります。今回は美味しそうな手打ちの中華麺も選べたのですが、敢えて出前一丁の麺で作って貰いました。具材も山盛りで今まで見たこともない立派な出前一丁です!ところで我々には出前一丁には強い先入観があるはずです。特に昔から存在する物に対しては、こうでなければダメだ、以前と違うからダメだ的な固定観念です。時にはその変化を嫌う固定観念が新たな進化を阻むこともあるでしょう。

で、感想はですね、え〜っと、次回は絶対に中華麺にします(笑)

細野漢方診療所 細野孝郎

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