• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

(1)、(2)、(3)からの続きになっています。

第3回で終わるつもりでしたが、ここまで続けると実際に処方した例で説明した方が分かりやすかと思います。

60代の女性の方の例です。この方は元々肥満体質であり、中性脂肪やコレステロールがいつも健康診断で引っかかっていました。最近は健康診断で高血圧も指摘されています。お父様も当院にかかっておられ、この患者さまも昭和58年に坂口医師の頃より当院で診させて頂いております。当初は子宮筋腫などの女性系疾患でお見えになり、ずっと経過良く、目立った更年期の症状もなく閉経されました。その後は体質改善系の処方(本治法)をメインとし、腰痛や胃腸の具合が気になったりするとそれらに対する処方(標治法)に切り替えたりして健康管理をしていました。2021年の夏頃に「腰痛もすっかり良くなったところで、便秘と言うほどではないけど、少し便の出が悪いことや、体重血圧肌荒れが気になるので、引き続き体質改善をしたい」とおっしゃいました。大柴胡湯の様な柴胡剤を半量程度をベースにして、ちょっと強めの女性系処方でお腹を動かす?とも考えましたが、「皮膚のブツブツが気になる」の言葉があったのと、長年通っておられて漢方を理解されているので、結果を急ぐ必要もないかと思いました。そこで腰を据えての本治法として防風通聖散、さらに皮膚を綺麗にしたいので薏苡仁(よくいにん)を加味、またここまでの長年の経過で、防風通聖散だけでは便の出が悪いのは察しがついていましたので、夜の処方にだけ大黄(だいおう)を増量してみました。2ヶ月に1度の割合で再診されるのですが、一年間は毎回「便の出は良いけど、他は何も変わらない」とおっしゃり、「この年になると変わらないのが良いこと!」と返して終わっていました。1年位経過してくると、「そう言えば血圧が安定してきた、肌のブツブツが最近なくなってきた」とおっしゃいました。2年位経過してくると今度は「お腹が少しゆるめになってきた」とおっしゃるので、夜の大黄も減量に成功しました。但し、体重は大して変わっていません、減ってくれれば万々歳だったのですが欲張りすぎはダメです。血圧も安定し、便の出も良くなり(下剤を減量できた)、肌状態も良くなる、防風通聖散の狙い通りの効果が得られました。もちろん現在も同様に継続中です。

逆に不発例もあります。40代の男性の方で170センチで100キロ程度のいかにも防風通聖散タイプの方です。この方は健診で肝機能の数値を指摘されたため、これを何とか改善したいと来院されました。肝臓はエコーでは立派な脂肪肝、他にももちろんコレステロール値中性脂肪値も高値で、空腹時血糖値HbA1cもグレーゾーンです。最初に防風通聖散以外に大柴胡湯、柴苓湯加茵蔯山梔子なども鑑別にありましたが、まずは防風通聖散から治療開始としました。ご本人の努力あり体重も少し減少した中で半年後の健康診断では、再び肝機能など以前より指摘されていた数値の改善はしていませんでした。今まで過去記事でも書いて来たように防風通聖散の性格を考えると、もう半年は継続して様子を診るべきかも知れませんが、ご本人も数値を気にされていたので、肝腎の機能を改善する目的で大柴胡湯合四苓散(柴苓湯みたいにしたかった)としてみました。今年に入って(処方変更から1年後)肝機能やコレステロール値などが正常範囲となりました。悩みの種の肝機能などが改善してめでたしめでたしなのですが、反省点としては最初は大柴胡湯などで治療を開始(本治法)して数値などが改善された時点で防風通聖散(標治法)に移行していくのが先々を考えても良かったのではと思っています。

Happy catと言うドイツ製の無添加フードがあります。完全栄養食で平飼いチキンや鴨、ラムからビーフ、さらにはサーモンやマスまで各種あります。以前はセブンイレブンの幕内弁当が今より100円程安かったのですが、それと同程度の値段です(笑)自分の食べる弁当と猫のパウチが同程度の値段と言うのは複雑な心境でした。でも飼い主の気持ちとしては、自分の物はケチっても、猫には良い物を与えたいものです。ある程度買えば送料も無料になるので頑張って多めに買いました。しかし!自分そっくりな猫がモデルになってるのに全く食べない!!頭に来るけど言っても通じるわけないし、、、、また今のフードが飽きた頃に試してみます。

細野漢方診療所 細野孝郎

診療日誌トップ