• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

今回大事故処方はお休みです。

妊娠した方には必ずと言って良いほど、当帰芍薬散の説明をしていますが、漢方に馴染みがないといきなり言われても、なかなか理解し辛いかと思います。何かいろいろ説明してたけど、これ飲んでおけば良いんだよね!みたいな感じになってないですか(笑)??確認のためにも今回は、いつもの説明をそのまま文字にしておきます。簡略化(しているつもり・・・・・)しているので、ちょっとツッコミどころ満載かも知れませんが、そこはご理解下さい。

さて3月頃からポツポツと妊娠報告が増えて来ました。体外受精や自然妊娠など様々です。体外受精の場合は、スケジュールに合わせて処方しているので問題ないのですが、自然妊娠の方などから「妊娠したみたいだけれど、今飲んでいる漢方は飲み続けていいですか?」とお問合せの電話があります。これも毎回のように説明しているのですが・・・・・・「妊娠が分かったらこの薬はお休みして、その後のことは連絡下さい」と。皆さん、妊娠したら嬉しくてそれをすっかり忘れてしまうんです。妊娠したら、なぜ今飲んでいる漢方を変える必要があるのか(変えなくても大丈夫なパターンもあります)の詳しい説明は過去ブログに書いています(多分)ので、よろしければ探してみて下さい。今回は妊婦さんの基本処方としての当帰芍薬散について書いておきます。

当帰芍薬散は安胎薬とも言われていますが、本来は女性の基本処方として知られている有名処方です。なので何も妊娠している方限定の処方ではありません。証が合えば別に男性でも適応でしょう。細かい話は今後にして、今回は妊婦さんにおける当帰芍薬散について、いつも皆様に話ている感じでサラッと説明をします。

「当帰芍薬散は6種類の生薬から構成される漢方で女性の基本処方、妊婦さんの基本処方みたいな言われ方をしています。構成生薬は大雑把に言うと、四物湯(しもつとう)プラス五苓散(ごれいさん)、四プラス五で9種類の生薬、ここから3つを引いての6種類の生薬から構成されています。四物湯は女性系の優しい系の処方で、穏やかに子宮卵巣系の血流を良くすることで、子宮内環境を良好に保ちます。赤ちゃんの住んでいる環境(子宮)が劣悪だと困りますからね。更に血液の質も良くする、これは赤ちゃんの唯一の栄養がお母さんの血液になるので、このクオリティが低いと絶対に赤ちゃんには良くないし、血液の質は高い方がお母さんにも良いです。あと子宮の過度な動き、それを少し抑えてくれる作用もあります。子宮が過度に動くと中にいる赤ちゃんは落ち着かないはずです。五苓散は水分代謝を良くしてくれる処方です。妊娠も後期になると血液量も増えて浮腫みやすくなったりするでしょ、これは浮腫みの予防になります。とは言っても多少なりとも浮腫むは浮腫むと思います。ただ過剰に浮腫むと母体の負荷になりますから、その過剰な部分が少しでも減らせればと言う意味です。当帰芍薬散に含まれる茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)は消化管の過剰な水分も吸収させる作用がある、つまり胃に水が溜まりにくくなります。と言うことは、つわりも若干マシになるそうです。つわりが少しマシになると言うことは、飲んでいる患者さんが教えてくれましたが、もちろん全く効かないと言う方もおられます。つわりはあって当然の事だから、辛くてもあまり気にしないで、むしろあって良かったと思った方がいいです。つわりの時に飲む漢方もありますが、効かないとか!、吐き気がする時に飲む気になるか!とか沢山聞いてきましたし、まぁ飲めるんだったら無理に変えずに当帰芍薬散のままでもイイんじゃないかと思います。どこまで飲むか、これも気になると思うのですが、僕の祖父や父親なら生まれるまで当帰芍薬散を飲みなさいと言うと思うけど、僕はもうそこは自分の感覚で決めてくれた方が良いと思います。ザックリ言うと、だいたいウチに通って妊娠した方の1/3が生まれるまで、1/3が安定期まで、1/3が心拍確認までみたいな感じです。産後には産後の漢方があって、子宮の戻りを良くしたり産後の気分の悪さを改善したりする処方がありますが、これも当帰芍薬散ベースに生薬が色々加わった感じです。また母乳の出が悪い時には、別のまであります。あと縁起悪いこと言うのもなんですが、出血した時には四物湯ベースに止血作用のある生薬を入れた漢方を使って、妊娠高血圧症候群だ、みたいになったら症状にもよりますが、五苓散ベースに組み立てて行きます。

まぁ心拍確認して、そこで初めておめでとーですから、この時点でお互いにヌカ喜びしないでそこまでは慎重にみて行きましょう!(当帰芍薬散が長期欲しいと言われたら)取り敢えず心拍確認までにしてそこで考える、寒いとかで来るの面倒なら電話くれたら送りますし、その方が良いでしょ。」

毎回、毎回最低これだけ説明していますが、今文字に起こして気付きました。こりゃいきなり長々言われても右から左に抜けるのはしょうがない!自分的にはもっともっと細かく伝えたいことがあるのですが、あまり長いと言われた方も理解が追いつかないと思い短くしていたつもりですが・・・・・・また気が向けば、もう少し細かく生薬レベルの働きまで落とし込んで書いてみます。

ちなみにブログ内検索を当帰芍薬散でかけるとこれだけありました、これ以上こんなに見てらるか!と怒られそうですが、一応リンクを貼っておきます。
以下、ブログ内に当帰芍薬散記事へのリンク。

さて、長々と書いていたら首と肩の痛みが激しくなったので、以下はお休み・・・・・・・

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細野漢方診療所 細野孝郎