• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

年明け最初の題材に胃苓湯(いれいとう)を取り上げてみました。この処方は過去に何度か書いていますので、ブログトップの検索ボックスより検索して、よろしければそちらも参考にしてみて下さい。

胃苓湯=平胃散+五苓散

となります。平胃散や五苓散も過去に何度も書いていますのでご参照下さい。さて今回、なぜ胃苓湯を取り上げたかと言うと、年末に自分が飲んで思いの外に効果があったからです。今回は概況で次回以降に処方の構成などを考えてみます。

今年の2月に怪我などなければ大阪マラソンに出走予定ですが、一年近くも長い距離の練習ができていませんでした。そこで年末に思い切って30キロ走をしたのですが、走っている途中から胃が気持ち悪くてオエオエ状態となってしまいました。年齢と共に消化機能の低下は実感していますが、普段はそこまで胃腸虚弱ではなく年相応かなと思っています。なぜ走ったり運動したりすると吐き気を催すのか考えると、理由の一つとして胃の上下動が考えられます。胃に水や食べ物などが入ると普段より胃が重くなり、その状態で運動すると胃が過度に動いてしまい気持ち悪くなるのです。水分補給が大切だとばかりに給水所ごとにせっせと給水していて、いきなりゲロゲロになった人もいるかと思います。実際にレース中に吐いてる人も見かけます。自分の場合は、朝に軽くですがパンを食べて走りに出て、その後に10キロ、17キロ、25キロで自動販売機に立ち寄ってお茶やジュースを飲んだのですが、17キロの自販機の後に胃に水分が溜まっての胃重感と気持ち悪さを自覚しました。

さてこれを普段の状態に落とし込んで考えると、疲労やストレス、加齢などで胃の動きが悪い状態で飲食をし、動き回る(家事など)と何となく胃が重くなるアレです。よく患者さんは「ここに胃があるのが分かる感じ」とか「ここ(胃のあたり)にシコリがある」などの表現をされます。こういうの症状を訴える方に、うちの父親などは六君子湯(りっくんしとう)や平胃散を処方して、「食べた後はしばらく横になっていなさい」などと言っていました。昔からの患者さんで、「よくお父さんにそう言われたから、今でも食べてから暫くは横になってるのよ」とおっしゃる方もおられます。

胃の苦しい状況をもう少し考えると、食べ過ぎて食事がパンパンに詰まった感じと、水分が吸収されないで胃に溜まって苦しい状態、ダボダボした感じに感覚的に区別できるかと思います。今回の胃苓湯はこのダボダボした感じ(いわゆる水パラって言うのか?腹水ではないです!)、口の中から喉がパサつく、粘る、そして水分を摂るとそのまま胃に溜まった感じで重い、と言う時に試して欲しい漢方処方です。

年末年始は遠出する予定もなく、できれば何もせずにネトフリだけ見て過ごそうと思っていました。結局は休みの期間中に75キロ走って、一応それでも怪我が怖いのでセーブしたのですが、毎日やっていたお勉強もまとめて15時間近く進めることができました。そして猫のトミー君には友達が遊びに来てくれたのですが、高い所から睨みを効かせるので友達はバックから出て来れずに帰って行きました・・・・・せっかく来てくれたのになぁ〜です。

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細野漢方診療所 細野孝郎