前回の続きとして代表的な補腎剤である八味地黄丸と牛車腎気丸の構成生薬を見てみましょう。
八味地黄丸 | 牛車腎気丸 | |
地黄(じおう) | ○ | ○ |
山茱萸(さんしゅゆ) | ○ | ○ |
山薬(さんやく) | ○ | ○ |
沢瀉(たくしゃ) | ○ | ○ |
茯苓(ぶくりょう) | ○ | ○ |
牡丹皮(ぼたんぴ) | ○ | ○ |
桂枝(けいし) | ○ | ○ |
附子(ぶし) | ○ | ○ |
牛膝(ごしつ) | ○ | |
車前子(しゃぜんし) | ○ |
ここのブログでアクセスが多い上位の漢方処方は桂枝茯苓丸や五苓散などです。それらの記事の中でも今回同様に構成生薬を表にしていますので、まずそれをご参照下さい。そうすると難解な八味地黄丸の生薬が半分見えて来ます。何となくですが「年を取ると尿の問題があったり、血管が硬くなったりで血流が悪くなる、そこで水はけを良くして、血流も良くするのか!」程度でまずは大丈夫です。
漢方薬の構成生薬の記載順はその中でもメインとなるものが上位に来ます。なので上の3つが意味不明ではまだ八味地黄丸の性格が明確とはなりません。その中でも一番のキモは処方名にもなっている地黄です。一般に地黄を含む処方は地黄剤と呼ばれています。この地黄も実は四物湯で過去に何度かこのブログで書いて来ました。地黄(当院では熟地黄)は代表的な補剤(不足した物を補ってくれる)で、血虚(血が足りない、質が悪い)や陰虚(水が足りない、口渇したり咽がガサガサしたり、肌がカサカサしたりなど)の状態に用いる生薬です。山茱萸と山薬はそれぞれ書くと煩雑になりすぎるので簡潔に考えて、地黄と共に強壮滋潤効果や補腎効果があると思って下さい。附子は体を温める作用や代謝更新、強心利尿効果などがあります。これらの作用を知ると、前回書いた腎虚の症状や加齢に伴い起こってくる体調変化など、それらに対して八味地黄丸が効果ありそうな感じですね!
そこで八味地黄丸に2剤加えた牛車腎気丸もついでに見てみましょう。牛車腎気丸もよく処方される漢方薬ですが、八味地黄丸プラスαと全く知らずに服用している方も多いと思います。実はこの牛膝も過去にブログで書いていますので、そちらをご参照下さい。車前子はここで初めて出てきたかもしれませんが、利水薬の一つで利尿効果があります。以上のことより牛車腎気丸は八味地黄丸よりも、症状がより腰から下(腰痛や下肢の痺れなど)にあり、また泌尿器系に問題がある場合に処方されるのが分かるでしょう。
話変わって・・・・・
スイスは物価が高くて有名ですが、本当に高いのか?と気になるところです。実際にかなり高いです(笑)このサンドイッチで1400円位、それにソーセージとコーラを合わせると3500円オーバー??さすがに円換算すると恐ろしくなります。こういう日常のランチと言うか、マクドナルドやスタバは恐ろしく高いです。しかしレストランに行ってワインリストを見ると東京と大差ありません。むしろ割安な感じもチラホラと。ワインやビールの値段には一定の規制があるのか、それとも日本に運ぶより輸送代が安いからかも知れません。最初にドリンクやワインリスト見て「お!?高い高いって言うけど、日本とたいして値段変わらない!!」と思い込み、その後は値段もろくに見ずに食べ物を注文してしまい、最終的にはトントンと言う感じでした。しかしワインとか飲まない人には割高感満載でしょう。食事だけではなくスーパーなどで買った日常品もかなり割高なので、総合的に判断して物価はかなーり高いと言えます。これから行かれる方、適当に注文してしまわないように用心下さい!
細野漢方診療所 細野孝郎