前回はの続きになります。取り敢えずの葛根湯で風邪ウイルスを押し出すことに成功しても、何割かは皮膚や粘膜バリアーを突破して体内へ侵入してきます。一度中に入ってしまったなら押し返すのは得策ではありません。と言うのも押し返すには一旦閉めた皮膚の扉を再び開けて押し出さなければならないからです。例えば建物内に多数の侵入者が入ってしまい、更に悪い連中が外にも多数控えているとなればわざわざ戸を開けることは絶対にしないでしょう。開けた瞬間に更に押し入って来ますよね。防衛側としては内側の仲間と協力して侵入者を制圧する必要があります。ここで働くのが体の抵抗力です。現在の抵抗力だけで制圧できれば良いのですが、敵が手強い場には緊急にそれを補強する必要があります。この時に補強する作用があるのが柴胡剤(さいこざい)と呼ばれる、柴胡と言う生薬を含む処方になります。残念ながら葛根湯にそれは含まれません。柴胡剤の最も有名な処方は小柴胡湯(しょうさいことう)です。これは抵抗力を補強する、言い換えれば体内のデトックス機能を高めてくれる処方です。ここで気を付けなければならないのは、防衛側の装備(体力)のレベルです。例えば古くて耐用性の低い発射装置しかない所に高性能な爆薬を持って行った場合、発射した瞬間に圧に耐えられずに自爆してしまいます。装備に見合った補給ではないと意味がありません。例えば小柴胡湯はある程度の体力のある人に適応する処方なので、体力のない人が服用すると自爆となる可能性があります。判断に迷って試すにしても半量程度で慎重にやるべきでしょう。柴胡剤の期間は葛根湯と違って少々長めにみて下さい。長いと言っても通常ならばせいぜい一週間から10日程度でしょうか。次回は柴胡剤について具体的に考えてみましょう。
ゆっくりと車窓を楽しみながら辿り着いた先はここです。一度は登ってみたい、もちろん登山ではなく電車で近くまでですが。幸いなことに翌日は晴天みたいなので、登山鉄道やゴンドラを使ってマッターホルン近辺のハイキング地点まで行けそうです。気温は快適そのもので、日本から分厚いダウンコートを持って来たのですが、そんな物を着ている人はほぼいません(笑)スイスはこの時期は冬営業に切り替わる前のシーズンオフで比較的乗り物も街も空いていて、そう言う面からも快適でした。
細野漢方診療所 細野孝郎