• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

申し訳ございませんが今週は休診とさせて頂きます。ただ本日(8日)、木曜(10日)、金曜(11日)と薬剤師は出ていますのでお電話での相談は大丈夫です!また12日(土)、15日(火)は全面的にお休み致します。皆様にはご不便をおかけ致しますが、よろしくお願い致します。診療再開は17日(木)からとなります。今回、次回はブログも以前書き溜めていた中より上げて行きます。以前書いていたので、最近の傾向と違って少し内容的には難しいかも知れないです・・・・・

簡単にまとめれば、60代のお母さんが処方された連珠飲も、30代、40代の女性のみなさんが処方された当帰芍薬散も根幹は似た物処方です。

浮腫みで五苓散(ごれいさん)を愛飲されている方は多いかと思います。浮腫みには五苓散!単純にそれだけでも悪くはないのですが、それだけではスッキリ解決しない場合もあります。五苓散は5つの生薬から構成されるシンプルな処方です。このような処方は他のシンプルな処方と組み合わせて、より効果アップが期待できます。以前も五苓散と苓桂朮甘湯の関係について書きました。苓桂朮甘湯に四物湯を合わせるのがアリ(連珠飲)なのと同様に、五苓散に四物湯を合わせるのもアリなのです。

連珠飲=四物湯+苓桂朮甘湯≒四物湯+五苓散(マイナス沢瀉と猪苓)
当帰芍薬散≒四物湯+五苓散(マイナス地黄、桂枝)

生薬のプラスマイナス多少あります。どちらもニアリーイコール四物湯プラス五苓散、同じじゃないか!と思われるかも知れませんが、マイナスの生薬などの関係で浮腫みに対する作用部位が異なります。連珠飲や当帰芍薬散の細かいことは過去記事を参照してみて下さい。

さて、上記したように連珠飲(苓桂朮甘湯)には沢瀉と猪苓がありません。逆に当帰芍薬散は沢瀉が入っています。ここで沢瀉について調べてみました。沢瀉は代表的な利水滲湿薬で、オモダカ科(Macでオモダカと入れると沢瀉と変換されます、ビックリです!!!)の塊根を乾燥した物です。腎臓病の浮腫みや脚が浮腫む(脚気みたいな)時には、茯苓、白朮を配合すると記載されています。このことからも沢瀉、茯苓、白朮を含む当帰芍薬散は全身的な浮腫みを伴う場合に効果あると分かります。当帰芍薬散と連珠飲の違いは沢瀉や桂枝を含むか含まないか、これだけのことで処方の方向性が変わってしまいます。

しかし実際には、当帰芍薬散の方が良いだろうと思っても、連珠飲の方がピッタリ来たり、またその逆の場合もあります。これは単に自分の見立てが悪いだけのことですが(笑)そう言う時に、五苓散と四物湯を合わせると意外にピタッと良くなることは多々あります。ただこの時のコツは、両者の配合割合にあります。50パーセントずつで良いのか、それとも四物湯30パーセント、五苓散70パーセントが良いのか、その辺りの細かい部分は処方する側の経験値にかかってきます。

少し話はそれますが、沢瀉の項目に、痰飲(たんいん、胃などに水分が停滞すること、そのため吐き気がしたりする)の時には茯苓、半夏(はんげ)を配合するとも記載されています。当帰芍薬散などを服用している方が、胃に水が溜まったりでムカムカする場合には半夏を少々加味すると、症状は落ち着くと言うことです。今まで、そう言う場合には小半夏加茯苓湯とか茯苓飲などに変更していました。不妊治療などやっていると、女性系の処方をお休みして胃の処方に短期間でも変更することに抵抗ある方が多数です。そう言う場合には当帰芍薬散に半夏を加えるとそのまま継続できると言うことですね。

こちらもお休みモードですみません。

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細野漢方診療所 細野孝郎