今回はコロナ感染後にほてり、のぼせ、不安感などの更年期様症状の再発、さらには倦怠感も出た方の例です。40代中頃の女性の方で、元々は不安感やほてりなどの症状で通院しておられたのですが、桂枝茯苓丸などから治療をスタートして最後は抑肝散加芍薬黄連(よくかんさんかしゃくやくおうれん)ですっかり改善した方です。今回は3年ぶりに来院され、コロナに感染して発熱などの症状は軽かったが、以前のような更年期様症状がぶり返したとのことでした。症状としては、ほてり、のぼせ、不安感、吐き気、倦怠感などです。気滞の典型的症状である頭に霧がかかった感じや喉の詰まり感、胸のモヤモヤはありませんでした。お話を聞きながら時に頭の中で考えました。まず胃の症状はまずは取りたいよね、以前は桂枝茯苓丸で治療をスタートしたのでやはりベースは桂枝茯苓丸にしよう、そこに生姜を加えると甲字湯、さらに半夏でも加えれば治るでしょ、と。次に腹診するとあれれと、想定外の胸脇苦満があります。もしやこれで吐き気が来てるのでは?と疑わないとダメです。そうなると答えは簡単、桂枝茯苓丸ベースは同じ、そこに逍遥散(しょうようさん)を加えるのもありですが、選択したのは四逆散(しぎゃくさん)1/3量です。桂枝茯苓丸は2/3量使いたかったし、さらに弱い逍遥散を加えるのならばこちらも最低でも2/3量使いたいからです。そうすると合計一人前超えた大盛りになりますよね。しかし四逆散なら今回の場合はある程度少量でも効果があると思えたからです。保険漢方などで、たまに一日6袋や9袋も飲むようにと処方されているパターンを見かけますが、ちょっと私には理解できないです。例えばこの方の場合、この様に細かい配分が難しければ単に加味逍遙散でも似た感じになるし、それでも効果あったかも知れません。ざっくりと、四逆散+桂枝茯苓丸≒加味逍遙散だと思って下さい。
そして2週間後、ほてりやのぼせ、吐き気などは改善したのですが、倦怠感と不安感は続いていました。ここはもう少し我慢してコロコロと処方を変えてはいけません。変えた瞬間にほてりやのぼせが復活して全てが台無しになる痛い目は何度も経験してきました。さらに2週間後、やはり不安感は残っているとのことで、以前に竜骨牡蠣(りゅうこつぼれい)、これは自律神経を落ち着けますが、を少し加えていた時期があったことを思い出しごく少量加えてみました。結果、この処方が大正解だったみたいですっかりと症状は落ち着いています。コロナ感染症の後遺症の出方はまだよく分かりませんが、体質の弱い部分を突っついて出てきやすい、みたいな感じもあるのかも知れません。長年落ち着いていたアトピー性皮膚炎が何十年ぶりに再発した方もおられますし、眠っていた親知らずが痛んだ方もおられました。本当に疫病神的なウイルスですね。
いつも写真の下しか読んでくれない人多数(笑)なのですが、ちょっと今回は新しいネタがなくて申し訳ないです。そこで香港行った時の餃子の写真です。餃子は焼き面を上にするのか、それともそのまま出すのが普通なのか、それとも国や地域によって異なるのか??写真メニューでは焼き面が上でしたが出てきた物は・・・・・日本では見慣れない感じでした。焼いた餃子は胃もたれするのでいつも水餃子ばかりですが、油が良さそうな店だったのでオーダーしてみました。逆さに出てくると胃もたれしませんでした!余談ですが、奥に写っている醤油みたいな物は強く黒酢が効いたタレで、日本みたいに酢醤油とラー油では食べません。餃子自体に味付けがしっかりしているので、僕は何もつけな派です。ちょっと(かなり)黒酢が苦手と言うのもあります。但し中高生の頃よく行った京都のソウルフードの餃子有名店(銀閣寺店か農大前店だったか)は酢醤油が必須です!
細野漢方診療所 細野孝郎