• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

前回からの続きになります。

前回は湿熱に3つのパターンがあると書きました。イメージとしては真夏の高温下での通常の熱中症は湿熱邪によるタイプが主となり、この時期の30度にも満たない曇天の中での熱中症は湿が体内で化熱したタイプ、これをいわゆる梅雨型熱中症と考えるのが分かりやすいと思います。3番目に書いた、内湿に関する事は言い換えると、消化管の動きや働きが悪く水が溜まってしまい、それが化熱して内湿になると言うことです。当然これは梅雨型に限らず、熱中症全般の悪化因子です。

湿熱は体内で場所により引き起こす症状は異なります。つまりざっくりと同じ梅雨型熱中症のカテゴリーでも漢方では細かく分けて、治療を変える必要っがあります。湿熱タイプの梅雨型熱中症だから一対一対応でこの処方!ではないのです。「前回、三焦での停滞と書いてあったから三焦って部分で停滞するんでしょ?」と思った方、もちろんそれで正解です!でも読んで字の如く、三焦とは3つの部分を纏めて三焦と呼んでいるので、それぞれの部分(中と下)での停滞を区別して考える必要があります。更に細かく言えば、湿と熱のバランス、例えば湿>熱なのか、それとも熱>湿なのかによっても治療は異なります。

三焦は上から、上焦、中焦、下焦の部位に分類し、基本的には解剖学的な臓器がどの部位に当てはまると言うことではありません。しかしそれでは話が通じないので、まずは漢方で言う臓器に当てはめて考えてみます。

上焦:心、肺
中焦:脾、胃
下焦:肝、腎、膀胱、腸

となります。これはあくまでも漢方で言う臓器で、心=心臓ではありません。実質的な物を指すのではなく、単なる概念です。こう言うのが読んでいて嫌になる所ではないかと、漢方って訳わからないことばかりゴチャゴチャ言ってる、となる部分だと思います(笑)なので、サックと上焦は心臓や呼吸器系に関係する、中焦は胃袋下焦は大腸、肝腎の解毒器官と膀胱、と考えて下さい。そうなると上、中、下のどの部分での湿熱かにより症状が異なるのは想像できるかと思います。

まずは中焦の湿熱、これを脾胃湿熱(ひいしつねつ)と言い、下焦の湿熱は更に分類して肝胆湿熱、大腸湿熱、膀胱湿熱と言います。これらのの症状(膀胱湿熱以外)は、食欲不振や胸苦しさ、口が粘ったり苦い感じ、体の怠さ、下痢などになります。これで次第に熱の勢いが優って来ると、自然界と同じく体内でも火事になってしまいます。火は上に向かう性質があるので、症状も胸から上に出やすくなります。眩暈や動悸、立ちくらみ、発熱などです。火の回りは早いので、症状の進行も早いのはご存知の通りです。湿熱邪により梅雨型熱中症として発症しても、次第に熱が勢いを増して結果として症状が通常の熱中症と同じになることはあるでしょう。

治療としては梅雨型熱中症の場合は、湿を取ることを主として、補助的に清熱作用のある漢方を組み合わせます。そして治療より大切なことは予防ですが、電気代をケチらず除湿するとかはもはや当然でしょう。今年の夏も電気代は補助してもらえるみたいです。食生活では、タイプ的に多いのが中焦の脾胃湿熱かと思うので、まずは胃腸に負担をかけない、飲食しすぎて過剰な物を溜め込まないなどです。結局それら(例としてアルコールや刺激物)が熱になり、また外部からの湿が熱に転換して熱が過剰になるからです。まぁそのあたりを少し自分で意識してみて下さい、予防になるかも知れません!

さすがに35度近くになると、屋外でのトレーニングは身の危険を感じます。昨年の記事に書いたようにまた熱中症になったら、たまったものではありません。とは言え、1日に一回は外に出て気を回さないと何か気分が上がりません。そこで水に濡らせば冷える冷却タオルを試してみましが、これは炎天下では10分で乾き切ってしまい役に立ちません。更に日差しでタオル自体が熱を持ってしまい、いくらタオルを振り回して熱を飛ばしても無駄どころか、逆に首を温めている感じです。お見えになる患者さんが最近よくしているのが、冷蔵庫で冷やして首に巻くタイプのネッククーラーです。通勤には良さそうですが、外を走るには冷却力や保冷時間が足りそうにありません。そこで見つけたのが、スポーツ用のサポーターなどを作っているザムストの首用のアイスバックです。メーカー通販は既に在庫切れなので、他の大手通販から買いました。結論としてとても良いです!今までは35度近くでは、歩く様な超スローペースでも3キロ手前で動悸や頭痛が出そうになるので、そこで暫く休んでまた3キロ行って休むの繰り返しでした。しかしこれを首に巻いていると、背中の上から首、頭に熱の籠りがなく、スローペースならば全くの余裕です。

問題点は、走ると氷がシャカシャカとなるので溶けやすく30分で水になります。水の状態でも体温よりは低いので悪くはありませんが、下から上がってくる熱に対して冷却力は足りません。そこでコンビニで氷を調達すれば良いのですが、セブンイレブンなどで売っているロックアイスは入りそうにありません。ロックアイスの袋を道に叩きつけて細かくして入れると言う方法もあるでしょうが、絶対に変な奴です!(そもそもこんな気温で走っている時点で変な奴なのですが・・・・・・)アイスコーヒー用の氷ならば入りますが、さすがにコーヒー飲まずで氷だけで300円近くは払えません。しかし、ファミリーマートとローソンには、好きな飲み物を入れて飲めるグラスタイプの氷のみが120円少々で売っています!小さいパックに入ったロックアイスと比べると割高ですが、この大きさの氷のみ手に入れられるのは助かります。これも2個入れて30分なので、これを5キロ地点で補給して往復最大10キロのスローランを多少は快適?にこなせるようになりました。ただ問題はファミマやローソンはセブンほど店舗がないし、更には日陰の多い道を選んでいるので、走るコースがかなり限られてしまうことです。

家の近所に何面もあるテニスコートがあって、そこ日陰が全くないのですが、老若男女のみなさんこの暑さの中でもテニスをされています。あんな日陰ない所で良くやるなぁ、と感心します。あとウチの患者さん達(男性)もそうですが、この暑いのにゴルフも普通に行かれています。「朝の早い時間に行って昼には上がるから熱中症は大丈夫!」だそうです。本当か(笑)?みなさんお気をつけ下さい下さい、どうしても外で運動したければ、こういうネッククーラーなども試してみて下さい。但し、涼しい室内でやっていると首元が冷えすぎて肩凝りの原因となりますからご注意下さい!

24時間エアコンの効いた部屋で過ごしている猫にはネッククーラーは不要なようで・・・・・・、そもそも首を抜けてお腹を冷やすことになりそうです。

(加筆)2024.7.10
セブンイレブンにもグラスの小さなロックアイスがあるよ、と読者様からご指摘頂きました。本日、早速セブンで氷の補給をしました。一部取扱のない店舗もあるみたいですが、夏の都内ならば大丈夫でしょう。1カップ120円で、2カップ入りました。至る所に各種コンビニはあるので、これで安心してトレーニングできます!

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