前回からの続きになります。
気がほぼ無ければ十全大補湯、まだ残っていているのであれば補中益気湯と前回書きましたが、実際に気が残っているのかいないのか、判断はとても迷う所です。そうなれば無難な方をまずは選択すべきです。判断つかなければ十全大補湯を選んで下さい。これで終わると身も蓋もないので、ちょっと無理矢理に使い分けを考えてみました。
症状 | 十全大補湯 | 補中益気湯 | 理由 |
皮膚が乾燥、色が悪い | ○ | 四物湯ベースのため | |
胃腸が弱い | ○ | ◎ | 陳皮など胃系の生薬が豊富なため |
手足がだるい | ○ | 胃を動かす作用が強いので | |
寝汗 | ○ | ○ | どちらも黄耆を含むので引き分け |
治りかけの風邪 | ○ | 柴胡が入っているので | |
痔 | ○ | 升麻の升堤作用 | |
子宮下垂、胃下垂 | ○ | 升麻の升堤作用 | |
女性系疾患 | ○ | 四物湯ベースのため | |
貧血 | ○ | 四物湯ベースのため |
漢方に詳しい人が見れば「あぁじゃない、こうじゃない」と思いっきりケチつけて来そうな突っ込み所満載な表です。あくまでも目安にはなるかと思います。
十全大補湯は四物湯ベースなので血虚(血が足りない)症状が基本になります。皮膚が乾燥したり色が浅黒かったりすると血虚症状で十全大補湯です。もちろん貧血や女性系疾患にも良いでしょう。胃腸症状や胃に血が集まって手足がだるいなどの症状があると、より胃を動かす作用の強い補中益気湯です。補中とは胃腸を補うと言う意味です。寝汗に関してはどちらも黄耆が入っているので引き分けとします。治りかけの風邪は、風邪が抜けきらず微熱ぽい状態のことで、柴胡が入っている補中益気湯を選んで下さい。痔や子宮下垂、胃下垂などは気が下に下がっている状態だと考えます。これは気を引き上げる補中益気湯が適応になります。升麻には升堤作用と言う下がった気を引き上げる作用があります。
繰り返しになりますが、あくまでも気が残っているか残っていないかが大前提で、その上で、または気の判断つかなければ上記症状などの有無で判断して行きます。
ちょっと毎日の生活に息が苦しくなって来たので、短期間の逃亡をして来ました!逃亡先で毎回食べてしまう招牌坦担拉麺ですが何と読むのか分かりません(笑)ただSignature Dan Dan La Mian で通じます。日本で似たような色の物を食べると単に辛くてしょうがないのですが、これは辛さ以上に胡麻の風味が感じられてとても美味しいです。
そもそも息苦しい場合は、心臓や肺などに異常がないのが大前提ですが、漢方では気が胸で滞っていると考えます。皆さんも経験ある心配事などで胸がモヤモヤすると言うアレです。こう言う状態が長く続くと本格的に自律神経が病んでしまいます。そうなる前に適度に気晴らしをして気を回しておくことが肝心です。疲れたらまずは逃げるです!
えーっと僕の場合は特に心配事はないので、逃亡するための口実にしているだけですが。。。。。
細野漢方診療所 細野孝郎