本日、朝のテレビで内臓脂肪減少薬が来月よりOTCで発売されるとニュースになっていました。詳細は分かりませんが、食べた脂肪分の25%程度を便と共に排出してくれるみたいです。能書き通りに行けば良いのですが、さて実際にはどうでしょうか。今後の展開が楽しみです!
そこで今回は「痩せる漢方」と(なぜか)言われている、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)について考えてみましょう。
防風通聖散はテレビやネットなどで、「痩せる!」とか「ダイエットに効果ある!!」など言われて、今やそういう面が一人歩きしている有名な処方です。当院にかかっている方々さえも「ちょっと体重が増えたので飲んでもイイですか?」とか「痩せるって書いてあったので、ちょっと試してみたいから出して下さい!!」など、いきなり言い出すので、こちらにとっては困った処方になっています。そこで防風通聖散と言う前に、まずはここを読んでもらって、それでも試したければやって見ると言うことにしましょう!
防風通聖散はとても複雑な処方で、以下の18種類の生薬より構成されています。
防風(ボウフウ)、黄ごん(オウゴン)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、麻黄(マオウ)、石膏(セッコウ)、白朮(ビャクジュツ)、荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)、桔梗(キキョウ)、山梔子(サンシシ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、薄荷(ハッカ)、滑石(カッセキ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)
ざっと目を通すと、四物湯から地黄を抜いた感じの、当帰、芍薬、川芎が確認出来ますが、これはもう説明不要でしょう。大黄、芒硝、甘草の組み合わせは調胃承気湯(ちょういじょうきとう)で、下剤になります。これで煩雑な18種類の組み合わせの1/3が見えました。
加減涼膈散(かげんりょうかくさん)と言う処方がありますが、これは口内炎や舌炎、舌の潰瘍から食道炎、胃炎などに使う処方です。構成生薬は8種類、大黄、黄ごん、桔梗、石膏、薄荷、連翹、山梔子、甘草となり、そのまま防風通聖散に含まれています。これで残り6つの生薬を考えれば良いだけです。
麻黄、防風、荊芥は解表薬に分類される体の表面(皮膚)に取り付いた病邪を発散させる作用があります。汗をかかせたりすることで、病気を体外に押し出そうとする作用です。またそれだけではなく、皮膚の透発作用と言うのですが、皮疹などを出し尽くして治す作用があります。
滑石、白朮には利尿作用があります。そして最後に生姜が残ってしまいましたが、おそらくは胃を保護する目的のためではないかと思います。
以上より防風通聖散は四物湯+調胃承気湯+加減涼膈散+解表薬(麻黄、防風、荊芥)+利尿薬(滑石、白朮)+胃腸保護(生姜)と考えらるので、どう言うタイプの方に適応するのかを次回考えてみます。
今年の東京マラソンはアメリカから来た友人家族(奥様がランナー)のサポートをしていました!(顔が出ない様に後ろ向きの写真ですが)
細野漢方診療所 細野孝郎