冷えの治療で単純に温める系のみの処方を使っても、効果がイマイチの場合は良くあります。麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)や大建中湯(だいけんちゅうとう)など、冷える時に使う処方ですが、主に温める系の生薬より構成される直球系処方です。瘀血(血流が悪い)や水毒(体内に水分が過剰に溜まっている)の程度が軽ければ、これらの直球処方で冷えの改善も期待できるでしょう。しかし現実には冷えの根本原因が瘀血であったり水毒であったりすることが大半です。その場合は温める処方に加えて、それら根本原因に対する治療も必要です。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と言う有名な処方があります。これは桂枝、茯苓、芍薬、牡丹皮、桃仁の5種類の生薬から構成される処方です。含まれる牡丹皮などは清熱作用があり、桃仁には強めの血を通す作用があるので、桂枝茯苓丸はどちらかと言うと冷えるタイプの人よりも体力あり冷えないタイプの人に適していると言われています。しかし実際には、瘀血の程度が強くて冷える場合には、桂枝茯苓丸で冷えが改善して調子が良くなる例を沢山経験しています。最初に気付いたのは、もう30年以上も前に大学で漢方外来らしき物をやっていた時です。慢性関節リウマチで通院されていた子宮筋腫の患者さんに桂枝茯苓丸を処方したところ、一ヶ月後に「あの漢方を飲んでから腰から下が暖かくて調子が良いです!」と言われたのが最初です。その当時は漢方治療経験も浅くかつ不勉強(今も?)だったこともあり、「これって冷えにも良いの??」と考えて、何とかの一つ覚えで冷える人に桂枝茯苓丸を連発しました。その結果、効果があった人達もいた反面、イマイチだと言う人達も一定数いました。イマイチな人達は、今から考えると水毒などがメインにあって冷えていた人とか、瘀血の程度がより強い人、または温める系の生薬が必要だった人などなど、色々な要素があったのだと思います。
当時は大学病院の外来に午前中だけでも40人以上の人が来て、脈診や腹診をして、現状を説明して、それに対する治療方法を説明してなど時間をかけることが全く出来ずに、それどころか患者さんの話も充分に聞く時間もないしで、自分の中で納得できる対応が出来なかったのが残念です。現在、当院にお越し頂いている方は、いつも僕がヒマそうにしているので想像もつかないかと思います(笑)
話変わって、最近は円安と値上げで、アメリカでラーメン食べると何千円もした!とかテレビでやっているのを見た方もおられるでしょう。一杯3000円もするラーメンなど想像も出来ない(喉を通らない!)と思いますが、本当にそうなのです。これはアメリカだけに限った話ではなく、昨年のロンドンマラソンの記事でも書いたかも知れませんが、ヨーロッパでもラーメン食べると大変なことになりました。ロンドンではトッピングの卵が600円とか、これもそのまま喉に詰まりそうでした。そこで今回はニューヨークの蕎麦屋の値段をちょっと見てみます!
牛そば17.5ドル、おおよそ2637円です!!!娘はもり蕎麦10ドルとミニカレーのセットでした。二人でビール飲んで、卵焼きとキュウリとタコわさびをつまんで、そこにチップを25%程度加算すると・・・・・・・と総額は恐ろしいことに。物価自体も高騰しているので、以前の1ドル100円で計算しても恐ろしい値段です。ちなみに泰明庵での肉そば(ここは牛はなくて豚ですが)は確か800円、その感覚が懐に染み付いているのでより高く感じてしまいます。さすがにこの値段は凄いなと実感して、メニューを写真に撮って来ました。味に関してはまぁまぁで、蕎麦も手打ちらしく悪くはなかったのですが、ただ一週間以上もアメリカにいると塩分が濃いと感じました。
細野漢方診療所 細野孝郎