先週からの続きになります。
桂枝茯苓丸、当帰芍薬散のどちらにも当てはまりそうだし、更に水毒の症状(浮腫みなど)もないとなれば、折衝飲(せっしょういん)も候補になるでしょう。前回の表に折衝飲を追加してみました。
桂枝茯苓丸 | 当帰芍薬散 | 折衝飲 |
桂枝 | × | ○ |
茯苓 | ○ | × |
芍薬 | ○ | ○ |
牡丹皮 | × | ○ |
桃仁 | × | ○ |
当帰 | ○ | |
川芎 | ○ | |
白朮 | × | |
沢瀉 | × | |
牛膝、延胡索、紅花 |
桂枝茯苓丸と当帰芍薬散を合わせて、水分代謝に関与する茯苓、白朮、沢瀉を抜いて、更に血液の流れを良くする紅花、痛みを緩和する延胡索、これらの生薬を子宮・卵巣系(本当は下半身)に作用しやすくする牛膝を加えた処方が折衝飲になります。
強めの駆瘀血剤(血を通す作用)である牡丹皮、桃仁に優しい駆瘀血剤(血の質を良くする作用)である、当帰、芍薬、川芎を合わせた、更には紅花を加えて、全ての駆瘀血剤を盛り合わせにした感じです。折衝飲は幅広いレベルの血管で作用し、更には作用時間的にも幅がある処方だと思います。また牛膝、延胡索が配合されているので、月経痛などにもより効果が期待できます。
じゃあ何でもかんでも折衝飲で合うのかと言うとそうではありません。まずは水毒症状があれば当帰芍薬散の方が良いでしょう。または折衝飲を2/3量に四苓散(五苓散)1/2量などの組み合わせの方が良いと思います。水毒が強くて過剰な水分が貯留していると瘀血は改善しません。また全ての駆瘀血剤が入っているからと言って必ずしも万能ではありません。一人前の総量はほぼ同じなので、その中に多くの種類の生薬を詰め込んでしまうと、それぞれの生薬の量も少なくなるので、作用も比較的分散されやすくなります。私の使い方としては、瘀血もそこまで酷くなく、現在の体調を上手に維持したい場合などに用いています。例えば不妊治療などで、最初にあった瘀血も改善したので移植まで体調を維持したい場合などです。月経痛などで水毒なく、桂枝茯苓丸ではもう一つ治り切らないし、また更に強い薬が合いそうにない場合などは、折衝飲や牛膝湯(折衝飲の変方みたいな処方)を使っています。
さて、前回の東生園にまた再挑戦して来ました。今回は「鳥焼きそば塩味」です!麺は柔らかい方をチョイス。見ての通り、山盛りキャベツがシャキシャキで、また麺も太麺で歯応え良く、とても美味しかったです。これはリピートします!欲を言えばキクラゲがもっと欲しかったのですが、高くなっちゃいますよね。
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細野漢方診療所 細野孝郎