• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

4月頃に書いた記事が埋もれていました。

桂枝茯苓丸プラス四物湯をずっと服用して調子の良かった方が、今年の2月に少し下半身の冷えを感じられたので、冬バージョンとして当帰芍薬散合甘草生姜湯に変更してみました。そうすると1ヶ月後に、寒さはそこまで感じないけど手のシビレが半年ぶりに復活したとおっしゃいました。まぁそんなこともあるだろ、寒さを感じないのでもうしばらく継続しましょうとなって、当帰芍薬散合甘草生姜湯をもう1ヶ月継続としました。その1ヶ月後、つまり4月なのですが、にお見えになった時には、ともかく良くない!とのことで、前回は言わなかったが、まずは薬を変えてから便秘ぽい髪の毛のコシがなくなってぺっちゃりして来た、さらには皮膚が痒い股関節までこわばる、何か女性ホルモンが減っている気がしてならない!!とのことでした。

この方は元々は蕁麻疹でおみえになっていた方で、それは大柴胡湯プラス茵蔯蒿ですっかりと改善したために、次は更年期障害の漢方治療をご希望され女性系処方に移行していた方です。ですから皮膚が痒いなどと言われたら「蕁麻疹が復活か!?」と焦ってしまいます。

元々、治療の経過はとても良く、女性系は大黄牡丹皮湯プラス大柴胡湯から始まり、様子を見ながら徐々に薬の強さを落として、桂枝茯苓丸プラス四物湯のみで下剤も使うことなくこの上なく快調だったのです。漢方治療はいつも想の状態を目指すべきと思っているので、もちろんご本人が現状に満足されていれば継続処方が基本になりますが、そうでなければその時点での体質に合わせて処方を変更するべきです。

さて話を戻しますが、本当に女性ホルモンが減ったのかどうかは分かりませんが、この諸症状を見るとご本人がそうおっしゃるのも納得できます。便秘ぽいのは胃腸系の血流が以前ほど良くないのかも知れません。髪の毛は頭皮の血流が関係するので、やはり桂枝茯苓丸の系統の方が血流改善作用が良かったのかと思われます。髪の毛は1ヶ月で1センチ伸びた程度では立ち上がりは変わらないでしょう。女性の場合は髪の毛が長いので、変化を体感するのは最低でも2ヶ月以上は必要かと思います。皮膚が痒いのは、当帰芍薬散系で温まったからそう感じるのか分かりません。女性ホルモンが本当に減れば、上記の諸症状に合わせて関節のこわばりが出てもおかしくはありませんが、本当にそうなのかは良く分かりません。とこれらのことをご本人に説明して、まずは処方を元に戻してみました。そこで、一ヶ月が経過して良い時の状態に戻ったとのことで、一安心しました。暫くは考え過ぎることなく、同じ処方を続けて行こうと思います。

当帰芍薬散と桂枝茯苓丸、どう違うの??と思う人も多でしょうが、これは似て非なる物です。機会あれば構成生薬を並べて説明できればと思います。

さて、ここまで暑い日が続くと室内と室外の温度差で自律神経もおかしくなってしまいます。朝の通勤は、駅まで歩いて日当たりの良い屋外のホームで電車を待つのですが、その間は汗が止まらずにぐったりしてしまいます。毎年こう言う疲れ方は8月の間の2〜4週間程度でしたが、今年は8週も続いているので疲労感は半端ありません。屋外活動(ランニング)も思うように出来ないので、更に気分も優れません。一昨日の日曜日は30度を超えていましたが、曇りで日差しが少なく風が比較的涼しかったので、途中で一回給水タイムを取りましたが久々に10キロ続けて走ることが出来ました。そうするといきなり気分も体調も良くなります。体を動かすことによって「気」が巡ったのです。しかし暑い中でやり過ぎると、今度はその「気」が減ってしまうので、程々にです!この時期は屋外での活動は推奨しませんが、皆さんそれぞれ自分に合った気の巡らせ方を探してみて下さい。

家に帰ると、生まれてこの方ずっと急激な温度差を経験したことない猫が昼寝から目を覚ました所でした。何もしなくても勝手に気が流れていそうな、長生きしそうです。
診療日誌トップ

細野漢方診療所 細野孝郎