タイトルは変わっていますが、不妊症の漢方治療の話で、(1)、(2)、(3)からの続きとなります。
前々回では強めの漢方処方、前回は優しめの処方について書きました。しかし実際には、そう極端ではなく、その中間程度の物を使うことが多く、間を取って強めの処方と優しめの処方を混ぜ合わせて使うような感じです。混ぜ合わせる比率は、その方の瘀血度合や体質などで判断します。組み合わせ方によってはピッタリと体質にフィットするはずで、比較的簡単に作れるオーダーメイド漢方と考えて良いでしょう。
例えば以前から何度も書いていますが、桂枝茯苓丸プラス四物湯とか、桃核承気湯加減(大黄減)プラス四物湯などの組み合わせを、それぞれ配合比を変えて良く処方しています。昔ですが聖光園の2代目の坂口弘先生が、よく当帰芍薬散1.5gに桂枝茯苓丸0.75gを合わせた物を1回量として処方していたのを覚えています。その当時(30年程前)は、私は普通の内科(リウマチ、自己免疫疾患)をやっていて漢方は父親の手伝い程度レベルだったので、当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を混ぜ合わせる意味が全く分かりませんでした。当帰芍薬散は比較的虚証の人の処方で、桂枝茯苓丸は比較的体力がある人の処方、と漢方参考書には書いてあります。この二つを混ぜるとか当時は全く意味不明でしたが、今では女性系はほぼ全てこの考えを基に処方しているので、実に貴重な教えでした。
この当帰芍薬散+桂枝茯苓丸を見てみると
当帰芍薬散+桂枝茯苓丸≒(四物湯+牡丹皮+桃仁+桂枝)+四苓散(五苓散)
となり、優しい系の処方に少し血液を回す力を与えて、更に水はけが良くなる四苓散を加えた感じになります。
その教えを基に自分が20年程前から不妊治療や女性系で良く使っているのが、四物湯+牡丹皮+桃仁+桂枝と言う処方です。これも四物湯(優しい系)を基本としたいのだけれども、もう少し血液を回す力(強い系)が欲しい、そこで牡丹皮と桃仁を少量加える、そこに更に頭に上った気(のぼせ、ほてりなど)を回したいので桂枝を加えたのです。
つまり昔から代々と、こうやって強い系と優しい系の処方を混ぜていたみたいです。私が頻用する処方は保険漢方では再現不可能ですが、当帰芍薬散+桂枝茯苓丸などは保険漢方の範囲でも十分に処方できます。水毒がなければ四物湯+桂枝茯苓丸、これも保険漢方で再現可能です。こうやって配合比を調整することでその方の体質の方に合わせて作ることが保険漢方でもある程度可能です。実際に大学病院で保険漢方外来をやっていた時には、これらの組み合わせで良く処方して、最初の頃は調剤薬局から「これを混ぜて処方するのはどう言う意味なんですか?処方間違いではないですか??」みたいな問い合わせが多数あったのを記憶しています。
この様にオーダーメイド漢方と言っても、生薬を一つ一つ加えたり減らしたりする本格的な物から、保険漢方範囲内でも作成可能なオーダーメイド処方もあります。細かく生薬を加減して作っていると、気付けば2種類足した処方構成とほぼ同じになってしまった、なんてことはたまにあります。あまり難しく考え過ぎないで、この様に何種類かの処方を組み合わせて体質に合わせて作っていく、これも立派なオーダーメイド漢方になります。女性系の処方は比較的オーダーメイドが作りやすく、またそうすることでより効果が期待できるでしょう。
梅雨が明けたかの様に異様に暑い晴天が続きます。あまりにの暑さに外にいると頭痛や動悸を感じてしまいます。それでも午前中にはランニングしているのですが、5キロ程度で心拍が上がりきってしまって木陰で暫く休まなければなりません。危ないのでそろそろ止めた方が良いのか若干悩んでいます。猫は一日中エアコン効いた部屋で絶好調みたいで、定期的にやって来る獣看護師さんに頭を撫でてもらって大満足のようです。前の猫が病気で寝たきりになった時に、自分が仕事で不在の日には専門の獣看護師さんに来てもらって世話してもらっていました。そのご縁もあって、今の猫もたまに見てもらう様にしています。前の猫の時には通院も代行で連れて行ってくれて助かりました。何かあった時だけ急に頼んでも、都合もあり来て貰えない可能性もあるので継続的にお願いしておくのが大切です!東京や京都、大阪で展開しているペットシッターサービスですから、興味あればご紹介致します。ところで、、、、、東京、大阪や京都っで展開って、以前に存在した漢方専門の診療所(今は大阪だけ)の様ですが。
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細野漢方診療所 細野孝郎