続きになりますので、過去記事(1)、(2)からご覧下さい。
四物湯は当ブログでも何度も書いているので今回はサラッとです。皮膚に対する四物湯の働きは、皮膚の血流を改善して、アトピー性皮膚炎の炎症などでダメージを受けた皮膚を回復させます。炎症で真っ赤に燃え上がった時期を経過すると、皮膚は乾燥してカサカサとなり粉が吹いた状態となります。また黒く変色した皮膚も同様です。これらの状態の皮膚には四物湯が適応となります。これはアトピー性皮膚炎の乾燥期だけではなく、皮膚乾燥症から肌美容まで広い範囲で適応となります。四物湯は過去にも書いている様に、女性系の基本処方ですから、皮膚の血流のみならず全身の血流を整えてくれます。つまり子宮卵巣系の血流も改善されるために、ホルモンバランスの面からも皮膚の改善に効果が期待出来ます。もちろんこれは女性だけではなく、男性のアトピー性皮膚炎にも適応となります。実際に皮膚の黒ずみなども、もちろん完全に元ある状態に戻る訳ではありませんが、女性同様に改善して行っています。
通常の女性系疾患に使うには四物湯は大きな副作用もなく使いやすい漢方薬です。当帰芍薬散が気軽に用いられていることからも分かるでしょう。しかし皮膚に赤く炎症のある状態の人では少し話が違います。四物湯は乾燥した部位だけではなく、炎症を起こして赤い部分の皮膚まで血流を良くしてしまうので、赤い部分がより赤くなってしまうのです。これが良くある「漢方を飲んだら真っ赤になって悪化した」と言う状態です。考え変えれば、この反応は四物湯に反応して皮膚血流が良くなっているので、炎症さえ抑えれば良くなるはずです。
黄連解毒湯は炎症部分を改善するけれども、乾燥部位はより乾燥させてしまう。逆に四物湯は乾燥部位は改善させるけれども、炎症部位はより赤くさせてしまう。実際にアトピー性皮膚炎の方の状態は、赤い炎症部分とカサカサした乾燥部分が混在している場合が多いので、黄連解毒湯にするか四物湯にするかは判断に悩む所でしょう。
そこで両者を半々に加えれば、お互いの困った作用も抑えられて好都合ではないかと言うことで(本当にそう思ったのか?)黄連解毒湯を半量、四物湯を半量の割合で合わせた温清飲が生まれたのです。
次回はやっと温清飲、これで最終回の予定です。
さて、先週の土曜日にラン仲間が集まってシックス・スターのお祝いをしてくれました。さらには時差にもかかわらずビデオ参加してくれたアメリカやイギリスの友人達(旅行中の奥様の故郷のルーマニアから)もいて楽しい時間でした。メンバーは既に6つを取った人が自分も入れて2人、これから6つ目指す人が2人、過去にアメリカのメジャーレースを走ったことがある人が6人、今秋に初めてメジャーを走る人が1人と、普段はあまり見かけない珍しい人達の集まりでした(笑)写真はお祝いで頂いたあっと驚くケーキです!猫が怒った顔をしているのは、いつも留守番させられているからだそうです。長期滞在するならば動物検疫も受けて連れて行くのですが、まぁ現状そうは行かないですね。しかしこのケーキをどうやって切るのかと思えば、一瞬で娘に真ん中にナイフ入れて半分にされてしまいました。関係ないとは思いますが、翌日から背中全体と左の首がバリバリに張って不快です。某国ではお札の顔の部分を折っただけで大変なことになるのに、本当に失礼な話です。取り敢えず、ストレッチで強張りをほぐします。
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細野漢方診療所 細野孝郎