天気予報などで連日の様に「いよいよ明日からは花粉のピーク!」だとか「過去最大級の飛散!」などとよく耳にします。そもそも明日からピークと毎日言われると、「今日がピークじゃなかったの??」と、少し混乱して来ます。ピークがいつであれ、花粉症の症状が出ている方も多いと思います。
花粉症の漢方と言えば、多くの方が小青竜湯を思い浮かべると思います。これは風邪の葛根湯や女性系の当帰芍薬散なみのメジャー処方で、それだけに間違いない選択かと思います。他にも花粉症の漢方と言えば、葛根湯加川芎辛夷、苓甘姜味辛夏仁湯、大青竜湯、荊芥連翹湯に辛夷清肺湯などなど、多くの処方名が出て来ますが、難しいことを考えずに一択であるならば小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。
小青竜湯はメジャー処方なだけに、多くの臨床試験がなされてエビデンスも豊富です。よく言われている薄い透明な鼻水が垂れる時に適応のみならず、鼻閉状態にも効果があると報告されています。また花粉によるアレルギー性結膜炎による目の痒みにも効果があります。
但し、元から慢性副鼻腔炎などがあり、それが花粉症で悪化して鼻をかむと奥から黄色の鼻汁が出てくる場合、また目に関しては、強い炎症があり赤く腫れ上がっている状態など、通常のいわゆる花粉症よりも強い症状がありうそうな時は、小青竜湯以外の選択肢になりますのでご注意下さい。
小青竜湯の基本は桂枝湯です。何度も書いていますが桂枝湯は葛根湯の基本でもあります。小青竜湯の構成は、桂枝湯から大棗を抜いて、麻黄、半夏、細辛、五味子を加え、さらに生姜を乾姜に変えたものです。気を付けなけれいけないのは、麻黄が入っているので、葛根湯などで動悸を感じる人は服用しないで下さい。当院ではさらに白芷(びゃくし)と言う生薬を小青竜湯に追加して、鼻奥のスッキリ感を体感できる様にしています。
また小青竜湯は薬理学的にも、ケミカルメディエーターの産生や遊離作用を抑制したりします。つまりヒスタミンの遊離を抑制したり、アラキドン酸代謝にも影響を及ぼすことにより花粉などのアレルギー症状を緩和させるのです。
数多くの患者様に処方していますが、皆さんからのフィードバックでは、「服用後10分程度で良い感じがする、鼻がスッキリする。目の痒みも思ったよりましになる。持続時間は2〜3時間」だそうです。
今年は花粉の飛散量が例年以上のため、外を何時間も走っている自分もかなり花粉に被曝してやられました。朝に鼻水とクシャミが出て、少し遅れて目の痒みが出ます。夕方以降も同様の症状が出てしまいます。毎年、軽度の症状なのであまり気にしなかったのですが、今年は目の痒みや鼻の奥のモゾモゾ感がやたらに気になります。そこで自分に小青竜湯プラス白芷を調合して試してみました。正直、こんなに効くとは思ってもいませんでした。服用すると白芷の鼻に抜ける香がして、鼻奥のモゾモゾ感が軽減されます。しばらくすると鼻の乾いた感じがして鼻周りがスッキリとして来ます。その後に目の痒みも次第に落ち着いてくるのですが、目に関しては洗浄したり点眼も併用しているので、この漢方だけでどこまでスッキリするかを自分の感想として書くのは控えておきます。ただ目に関しては、洗い流すのが基本になるので、まずは洗ってそして小青竜湯で痒みを抑えると考えて下さい。
服用方法としては、効果発現が早いために症状がある時の頓服でも大丈夫です。症状が出る前に抑えたい人は、朝に1回、あるいは朝晩(夕)の2回で大丈夫でしょう。私は朝は定期的に服用して、夜は症状がある時だけ服用しています。
さて、3月5日は東京マラソンでした。いつまで42.195kmを走れるのか分かりませんが、ゆっくりならば何とかなると再確認できました。一昨年に痛めた股関節痛がなかなか治らずに、昨年のロンドンは12キロで痛くなりスローダウンしましたが、今回は25kmまで痛みなく走れました。4月にボストンが控えているので、怪我するのだけは絶対に嫌で、予定では30kmでリタイヤするつもりでした。ちょうどそこに友人が審判員で配置されているからです。しかしあろうことか、その友人を見過ごしてしまい、ならば診療所(帝国ホテルの前)でゼッケン外そう(リタイヤ)とスローダウンして銀座まで戻って来ました。せっかくなので道の真ん中から数寄屋橋の交差点で写真を一枚!
診療所の所はほぼ34キロ、しかしここまで来たら残り8キロで股関節に痛みもほぼないので、ジョグとウォーキングでゴールしようかなと予定変更です。8キロを1時間ちょっとかけてゴールして完走メダルを貰って来ました。股関節にダメージ残らずにホッとしています。
花粉症ですが、走っている時には気にならなかったです。少々鼻がグズグズ程度でした。交感神経が緊張しているのか、それとも口で呼吸しているからかあまり気になりませんでした。コンタクトを入れているから目が痒くなると嫌だったのですが、これも大丈夫でした。ただ走り終わって着替えた後に目が猛烈に痒くなりましたが、洗眼と点眼でやり過ごすことが出来ました。
そして帰宅すると激しいメダル齧りで祝福されました(笑)歯が心配です!
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細野漢方診療所 細野孝郎