• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

3月13日からマスクの着用に関して個人の判断に委ねられることになりました。個人的には助かります。メガネは曇るし、何よりもマスクの紐に耳が引っ張られて側頭部の緊張性頭痛や肩凝りが酷くて困っていました。当院の鍼灸部にもそういう患者様が多く、こちらの治療は後回しに放置されているので、仕方なくYouTubeを参考に頸部のストレッチで誤魔化していました。とは言え、公共交通機関内や院内ではマスクをするつもりなので、頭が凝りと完全にお別れできるのはまだまだ先かと思います。ただロンドンマラソンでイギリスに滞在していた時には、電車やバス内と大混雑している場所のみマスクしていましたが、それでも頭の凝りはほぼ感じなかったので大いに期待はしています!

最近の新患様で多いのはニキビです。マスクを外す、外さないの話題がニュースに出た頃からニキビでお見えになる方が急増しています。「皮膚科で治療してもらったけれど、また出てきてしまった。内側から治さないとダメだと思って来ました。」 「マスク外して良い時までに何とか消えないか?」殆どの方がこうおっしゃいます。しかしいきなり漢方と言う変化球ではなく、皮膚科的な治療ですっかり綺麗になることも多いので、まず最初に皮膚科的治療をされることをお勧めします。それでも治り切らない、または再発を繰り返す場合に漢方治療の出番となります。

漢方で考えるニキビ

ニキビの直接的な原因は皮脂分泌の増加やアクネ菌の増殖、また毛穴のつまりなどが混在していることです。しかしこれらのみが原因であれば、皮膚科的な部分的治療のみで綺麗に改善するはずです。漢方ではニキビは、体内に過剰に蓄積された物質(毒素)が皮膚より排泄されるために発症すると考えています。基本的には体内で解毒され無毒化される、あるいは便として排出されるべき物質が体内に余分に溜まっている状態です。例えば便秘で腸に便が溜まっている場合、便通を改善するだけでニキビがすっかり良くなる場合があります。また胃腸の弱い人が、胃腸系の漢方を服用したらニキビが改善した例も多数経験しています。これは胃腸の機能が低下して、消化しきれずに生じた過剰な物質(毒素)が皮膚から排出されるからです。当然月経周期もニキビと関係があります。月経前(人によっては排卵前なども)には瘀血の状態(ホルモンバランスの異常)となり、それが解毒機能の低下をもたらし、ニキビの悪化と大いに関係します。また皮膚の弱い人は皮膚のキメが荒く、それこそニキビ菌が発生しやすかったり、さらには余剰物質を皮膚から染み出させてしまう(内側から漏れていく状態)でしょう。ストレスでニキビが悪化するのは、ストレスが自律神経のバランスを崩し、それがホルモンバランスの乱れに直結するからでしょう。また過労や不規則な生活は、ホルモンバランスを崩したり、さらには体力低下(疲労)によるDetox機能の低下をもたらします。

  • 消化機能(Detox機能)の低下(消化不良、便秘など、また過労、ストレスなど)
  • 月経周期によるホルモンバランスの乱れ
  • 皮膚の質の悪さ

皮膚科的治療のみで治らない方のニキビの原因は、以上の3つのうちのいずれかであることが多いでしょう。月経周期によるホルモンバランスの異常も、最終的にはDetox機能の低下に関係するのですが、女性の方のニキビの大半が月経周期に関係するので、敢えて別項目にしておきました。

ニキビの漢方治療

ニキビの治療には、漢方でもまずは表面のニキビそのものに対してアプローチする標治法と、体質そのものを治してニキビを根絶する本治法があります。この場合の体質を改善するとは、上記の3つに対する治療であり、これこそが皆さんがおっしゃる所謂「中から治したい」治療となります。

治療は基本的にはまずは標治法、そこから次第に本治法へと移行して行きます。しかし実際に一番多いのは、最初から標治法と本治法を合わせた処方で開始することです。と言うのも、ある程度皮膚科などで治療してからお見えになる方が大半ですので、ニキビ表面の治療はある程度終わっている、または継続中だからです。

具体的にどんな処方を組み合わせるのかなどは次々回以降にします。急に暖かくなって花粉の飛散量が増え、私も少々鼻が重くて目が痒くなって来たので、次回は花粉症について書こうかと思っています。

さて、東京マラソンや花粉以外に季節の変化を感じる物が身近にありました!泰明庵ではこの時期になると、蕎麦の上に菜の花が載って来ます。注文したのは12月27日に写真を上げたのと全く同じ「かしわ蕎麦」ですが、見た目は大きく違います。これ何十年も前からあったのですが、お恥ずかしながら、何か緑の野菜が載っている時とない時がある程度の認識しかありませんでした。こういう変化に目が行く余裕も大切なんだと実感しています(笑) 季節の変わり目で、寒暖差もあり自律神経が乱れる時期です。また花粉も本格的に飛散して症状が重い方には辛い日が続くと思いますが、明日からはいよいよ季節も変わり3月になります。月変わって季節変わって、そして気分も変わって、お互いに何か良いことがあれば良いですね!
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細野漢方診療所 細野孝郎