漢方を飲む方は食事にも気を使われる方が多いと思います。例え胃腸の状態が良くともアトピー性皮膚炎やニキビなどの皮膚疾患は食べ過ぎたり、食べ物が悪いと直ぐに悪化してしまうことは、多くの皆さんが経験されているでしょう。さらには内臓系疾患も食べ物に影響を受けるはずです。当院の前身である聖光園細野診療所では、かなり以前のことなのですが、患者様向けにの漢方関連の書籍を出版していました。その中でもこの「食養論」は食べ物や食に関して漢方的な視点から書かれていて、今改めて読んでみてもためになるし、また何か話の種になる様ないわゆる漢方雑談系の書籍です。
第一刷が昭和48年(1973年)ですが、本書はそれ以前よりある院内報からの抜粋になるので、実際に書かれたのは昭和29年頃(1954年)から48年頃にかけてみたいです。今読み返すと多少おかしな部分もありますが、食に関しての漢方的考えの根幹は変わりません。この様な事柄を断片的に目にすることはありますが、ここまで纏めて書かれているものはそうはないでしょう。
この食養論は現在では入手不可能ですが、抜粋してタイプすることは可能です。聖光園時代から100年近く積み重ねて来た歴史を後世に引き継ぐためにも、ホームページ上に順次抜粋して残して行こうと思います。
さて、ホームページ表紙に漢方戯言と言う項目を作りました。戯言は「ざれごと」あるいは「たわごと」と読まれます。読み方で意味合いが変わって来ますが、これは見る方の判断にお任せしようと思います。難しい話ではなく漢方に関するちょっとした小話です。漢方は何も月経不順やアトピー性皮膚炎みたいな病気を治す薬だけではありません。病気になりにく身体を作る漢方(いわゆる体質改善)もありますし、健康維持のための漢方薬もあります。さらには薬なしで食や生活を気を付けて健康に過ごすのも漢方の一つの考えになります。この様な事を漢方戯言のページで紹介できればと思います。そしてその中心となるのが食生活であると考え、まずは食養論のコーナーを設けました。気軽にご覧いただければと思います。
食養論、第一話は「漢方漫談 “そば” その一」です。これは1962年に祖父、細野史郎が院内報に書いた物です。考えてみれば私が生まれた年ですが、60年経過してこの世の中にこの様な形で自分が書いた蕎麦の話が出るとはあの世でも信じれないでしょう。祖父にはよく叱言を食らいましたが、これで少しは感謝してもらいたいものです。絶対に「人のを写すようなことするな、自分で考えて新しいのを書け!」とまた怒られる気しかしませんが(笑)月に1~2本を目標に更新しますので、よろしけれご覧いただき、友人や家族に「知ってるか?医食同源ってこういうことだよ」とでも自慢していただければと思います。
細野漢方診療所 細野孝郎