• 内科医師からスタートし、現在は三代続いている漢方専門のクリニックを銀座で開業中。女性系疾患(月経関連、更年期、 不妊症など)、アトピー性皮膚炎などから、ちょこっと体の弱い人までお見えになります。趣味はマラソン(基本的にはインドアでテレビ派)、猫(アメショ)、週に1回の外食。マラソンはsix stars finisher(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)日本人では338人目位の達成!!

生クリームを使ったケーキやアイスコーヒーを極々たまに食べるのですが、若い時から必ず胃もたれします。3時頃に食べると、夕食どきも胃もたれしたままで空腹感が全くありません。生クリームの様な油物は消化に時間がかかり、胃の動きも悪くさせます。さらにコーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸と言う物質がムカムカ感を引き起こすそうです。さらにアイスコーヒーは冷たいので、胃を冷やして動きを止めてしまうので尚更です。胃もたれするのは分かりきっているので、基本的には食べない様にしているのですが、今日は胃腸の調子が良さそうだからと試してみるとやはりダメです。

漢方で「胃」の薬は多数存在します。それぞれ作用が微妙に異なるので上手に使い分けなければなりません。その中でも比較的使いやすいのは安中散(あんちゅうさん)、六君子湯(りっくんしとう)、人参湯(にんじんとう)、平胃散(へいいさん)などかと思います。詳しい説明は診察の時にでも直接聞いて頂ければと思うので、ざっくりとした使い分けだけ書いておきます。安中散は延胡索(えんごさく)や牡蠣(ぼれい)を含みますので、胃痛、腹痛がありさらに胃酸が多い症状(胸焼け、吐き気)などがある時に効果がある処方です。一方、六君子湯は胃腸系の気を補う四君子湯(しくんしとう)に陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)と胃を動かして胃の中の過剰水分を排出する作用があります。つまり胃腸の動きが悪くて、そのためにお腹にぽちゃぽちゃと水が溜まり食欲のない場合に用いる処方です。人参湯は人参が主薬で、さらに乾姜(かんきょう)が入っていてます。この2つの生薬で胃腸を温める作用があります。他には胃腸の水分代謝を良くする生薬が入っています。お腹が冷えて痛い、胃が冷えて動き悪くて食欲がないなどの場合に効果があります。以上の3処方は比較的体の「虚」したタイプの方に合うのですが、平胃散は少し異なります。これは気を補うのではなく、むしろ胃腸の気を回すことにより胃を動かす生薬が主です。そこに水はけが良くなる生薬が組み合わさっています。上記の3処方よりと比べると、体が丈夫で胃もたれする人、食べ過ぎや飲み過ぎで胃腸の具合が悪い人などが適応となるでしょう。

以上ざっくりと簡単に4つの胃の漢方処方について書いてみましたが、それぞれ作用が大きく異なるのがお分かり頂けたと思います。外すと「漢方は効くのに時間がかかるなぁ」とか、「漢方は効かないんだよ」となってしまいます。漢方系の胃薬は比較的早く効果が出るので、しばらく服用してもあまり効果が体感出来なければ他の処方を試してみると良いでしょう。

もちろん胃もたれ予防の一番効果的な方法は、そういう物を食べないことなのでしょうが、胃薬系の漢方が多数存在することを思えば、人は大昔から同じをこと(食べ過ぎる、消化に悪いものを食べる)を繰り返して学習しないのでしょう。もちろん自分もまた体調良い時にチャレンジしてみます!

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