今週末は土用の丑の日です。土用のうなぎが夏バテに良いと言うフレーズは200年前に平賀源内が、流行らなかったうなぎ屋のために考えたフレーズだと本に書いてありました。うなぎは漢方的には、肝や腎(さらには脾)に良い食べ物とされています。肝とか腎とか、一体なんのこと言ってるの??ってなるかと思います。
肝腎(肝心)とは「最も重要なこと」を言いますが、これは人の体で肝臓、腎臓、または心臓が人が生きて行く上には欠かせない臓器であることに由来するそうです。
さらに調べて行くと、肝心(肝腎)は中国で1760年に書かれた書物で既に使われているので、現在で言う解剖学的な肝臓や腎臓、心臓とは少し違う概念に基づいていると分かります。これは五臓と言って、人間が生きて行く上には、肝心脾肺腎の各機能が正しく働くことで調和が取れると考えたのです。今で言う肝臓や腎臓とは少し異なり、その働きはより広いと思って下さい。
肝は今で言う肝臓の働きに加え、さらに自律神経(気)をコントロールしたり、「血」を作ったりすると言われています。腎は水分代謝に関係し、これは今で言う腎臓と同じですが、さらには生まれながら人間が保持するエネルギー(気)を貯めていると言われています。
漢方やっているところで肝虚(かんきょ、肝が弱っている)と言われて加味逍遙散(かみしょうようさん)などを処方された方もおられるかと思います。これは何らかの原因で肝がダメージを受けて自律神経(気)が乱れ、また血の質も悪くなったとの見立てでしょう。更年期で少し気持ちが不安定だったり、また血色悪く目の下にクマができてる様な状態です。
腎虚(じんきょ、腎が弱っている)は多くの人になじみある言葉で、薬局なんかの窓に「腎虚に八味地黄丸(はちみじおうがん)」と書かれたポスターとなんか貼ってあると思います。つまり腎虚とは加齢によるエネルギー(気)低下の状態で、これが著しくなると加齢ではなくもはや老化となってしまいます。
つまり肝腎な部分が損傷を受けてしまうと、困った状態になってしまうので養生するに越したことはないと言うことです。
長くなりますので、続きは次回以降にします。
診療所近くで晩御飯に久々にうなぎを食べてみましたが、もうかなりの高級品です(笑)確かに家の近くのスーパーの中国産うなぎも値段見ると高くてびっくりするので、うなぎ屋さんなんかも仕入れが大変かと思います。
ここまで偉そうなこと書いて、実際には肝とか腎とか夏バテとか全く考えずに、コロナ騒動になる頃からうなぎ屋なんて行ってないなぁ、といきなり思い付いて行っただけです。
「気」の話はよろしければこちらもご参考下さい。
細野漢方診療所 細野孝郎